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あの頃、きみの孤独をわかってあげられなくて、ごめん。

2010.06.06 *Sun


なんでもないわ、何時もそう言って笑う きみ。




鈍く、咳き込む音。細い身体が沈み込むソファが、ぎしりと音を立てた。あたまがいたい。目が回る。とても、だるい。向こうが暑かったから、完全に体調を崩してしまった。ふわふわ、意識が彷徨う。ああもう、きもちわる、い、
「……ちゃんとベッドで寝なよ、蒼衣」
ふ、と、僅かに意識が覚醒する。額に乗る、つめたい手。わたしよりほんの少し、低い声。そう、あの子。わたしの大切な、。それ以上頭が回らなくて、考えるのを止めた。代わりに重たい瞼を上げて、ゆらゆら、揺れる視界の向こうに相手を捕らえた。ああやっぱり。
「蒼、……あたま、いたい」「…待ってて、薬取って来る」
仕方ない、と言いたげに、綺麗な海の色が細められる。手が離れて、立ち上がる気配。くらくら、めがまわって、ぼんやりして。ただ、居なくなってしまう、気がした。ゆらり、いつかの記憶が頭をよぎる。泣かないでと、ずっと一緒に居るよといったあのひと、は。
ぱしり、離れかけた手を掴んだ。つめたい。そう、あのひとの手も、少し冷たくて、でも、優しかった。視界に霞がかかる。ねぇ、あのね、  、「ほんとはずっと、さみしかった、の」くらり、落ちる意識。


そっと、ソファにきちんと横たえた身体に布団をかける。浅い、呼吸音。頬にかかる銀の髪を除けてやって、少年はそっと目を伏せた。
とても、驚いたのだ。昔の話は知っていた。うしなったものの話。大好きだったのよ、彼女はそう囁いて、ほんの少しだけ寂しそうに笑っていた。でも、それだけだった。彼女は一度だって戻りたいとは言わなかったし、他人の様に扱われる家の中でも、一言だって辛いと言わなかった。そう、言わなかった、のだ。だから驚いた。自分の手を掴む力の強さに。縋る様に漏れた、その言葉に。
ねぇ。本当は。君は言わなかっただけで。「…ずっと、寂しかったの、かな」ぽつり、漏れた言葉に返事は返らない。うしなったものは彼女の心に確かな深い傷を残していて。でも、彼女は上手く生きていく為に、傷口から目を逸らす事を覚えてしまった。
放って置いた傷口は膿んで、鈍い痛みと共に血を流す。それでも彼女は、見ない振りをして。ぐるぐる、続く悪循環。気付いて居れば。幼い頃、まだ、傷だらけで膝を抱えていた彼女に気付いていれば、こんな事にはならなかったのだろうか。傷を癒す術を、うしなってしまうことは、無かったのだろうか。ねぇ、ごめんね、蒼衣。聴こえないのを知っていて呟いた。あいたい、熱に浮かされたこえが、聴こえた。



( 子供だったなんて言い訳に過ぎない )
( ねぇどれだけ きずついたの? )
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Author:月白・蒼衣
銀誓館学園高等部2年5組
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